「部品がない」と言われたエレベーターが復旧。約2,700万円のリニューアルを避けられた理由
エレベーターの部品が「もう手に入らない」「直せない」と告げられ、多額の入れ替え見積もりに頭を抱えるビルオーナーは少なくありません。世田谷区で賃貸ビルを所有するオーナーの押野様も、そのお一人でした。
長年任せてきたエレベーター保守会社から示された金額は、約2,700万円。しかし、思い切って別の会社へ相談したことで、結末は大きく変わりました。エレベーターが動かなくなり、高額な見積もりを前に迷っている方に、ぜひ参考にしていただきたい事例です。
【プロフィール】
| お話をうかがった方 | 有限会社 I.P.S 代表取締役 押野様 |
|---|---|
| 建物名 | バロニー世田谷 |
| 所在エリア | 東京都世田谷区世田谷 |
| 築年数 | 築20~25年 |
| 建物規模 | 地上6階建て |
| エレベーター | 1基(乗用) |
いつもの点検のはずが、動かなくなった
2024年の年の瀬、私は長年任せてきたエレベーター保守会社に、部品の交換をお願いしました。特別な修理ではなく、いつもの保守の延長にある作業だと思っていました。
ところが、その作業をきっかけに、エレベーターが動かなくなってしまいました。年末の慌ただしい時期に、住人の方が使うエレベーターが動かない。オーナーとして、一刻も早く何とかしなければならない状況です。
しかし、その会社から返ってきたのは、耳を疑うような答えでした。
「古くて部品がない。もう直せない。全面的に入れ替えるしかない」
長年任せてきた会社にそう言われると、こちらとしては受け入れるしかないのかもしれないと思ってしまいます。けれど、本当にそれしか方法はないのか。原因も、ほかに取れる手段も分からないまま、エレベーターは止まったままでした。
提示されたのは、全面リニューアルで約2,700万円の見積もり
本当に修理では済まないのか。もし入れ替えが必要だとしても、どれくらいの費用が妥当なのか。まずは自分でも確かめたいと思い、製造元にも問い合わせることにしました。
そこで案内されたのが、「全面リニューアルで約2,700万円」という内容でした。あまりに大きな金額だったため、長年任せてきた保守会社にも改めて相談しました。すると、「うちであれば、半額でできる」と言われたのです。
同じリニューアルの話なのに、なぜそこまで金額が変わるのか。私には、その理由が分かりませんでした。さらに詳しく確認したいと思いましたが、具体的な対応や手配は保守会社を通す必要があるとのことで、納得できる説明までは得られませんでした。
エレベーターは止まったままで、住人の方には申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、この金額のまま決めてしまうことには、どうしても納得できませんでした。
だからこそ、別の専門家の意見も聞いてみたいと思い、インターネットで世田谷のエレベーター会社を探したところ、見つけたのがi-tec24です。電話をするとすぐに駆けつけてくれ、その場で故障の原因を見立てたうえで、「部品が探せるかもしれないので、探してみます」と言ってくれました。
これまでのやりとりとは、動きの速さも姿勢も、まるで違いました。
「ない」と言われた部品が見つかり、その日のうちに動いた
i-tec24の担当者は、問い合わせた当日に駆けつけ、まず止まった原因を確認しました。電源のオフオン時に制御の”頭脳”にあたるシーケンサが故障し、立ち上がらない——それが見立てでした(※)。それまでの保守会社からは「古くて部品がない」としか聞いていませんでしたが、担当者の説明は、どこが壊れて、なぜ動かないのかという具体的なものでした。
そのうえで担当者は、「自社の部品倉庫(パーツセンター)に、よく似たシーケンサの在庫があるかもしれない」と言いました。「ない」と言われていた部品を、そもそも“探す”という発想がなかった私には、思いもよらない一言でした。しばらくして、実際に在庫が見つかったと連絡が入ります。ただし「記憶データが残っているかどうかは、正直、賭けです」とのことでした。直るとは言い切らない。その正直さが、かえって信用できると感じました。
説明を聞いたうえで、私はお願いすることにしました。そして、交換に踏み切った結果——エレベーターは、その日のうちに再び動き出したのです。約2,700万円と言われていた話が、10万円ほどの修理で済んでしまいました。もう終わったと思っていただけに、涙が出るくらい嬉しかったです。あの瞬間のことは、今でも忘れられません。
(※)本文の故障原因は、現地で対応した技術者の診断によるものです。「シーケンサ」は、エレベーターの動作を制御する装置(プログラマブルコントローラ)を指します。故障の原因や対処方法は、機種・製造年・設置環境によって異なります。
同じ症状でも修理で対応できるとは限らず、部品の在庫状況によっては入れ替えが必要になる場合もあります。
任せて分かった“誠実さ”と、我慢しなくていいということ
この一件をきっかけに、私は2025年1月、保守契約そのものもi-tec24へ切り替えました。決め手になったのは金額ではなく、「何かあれば、電話一本ですぐに飛んできて手配してくれる」という安心感です。
エレベーターは機械である以上、故障を完全に避けることはできません。だからこそ大事なのは、何かあった時に、どれだけ早く、どれだけ正直に向き合ってくれるかだと思っています。保守会社を選ぶうえで、費用や会社の規模、技術力ももちろん大切です。
ただ、今回の一件で私が一番感じたのは、困った時に原因をきちんと見て、できることとできないことを正直に説明してくれるかどうかという“誠実さ”でした。
同じように悩んでいるオーナーさんには、おかしいと思ったら、我慢せず、人任せにせず、自分でもう少し広く探してみることをおすすめします。今はインターネットでいくらでも情報が集まる時代です。もちろん巡り合わせもありますが、動かなければ何も変わりません。私自身、あの時に自分で探していなければ、約2,700万円のリニューアルをそのまま受け入れていたかもしれません。そう考えると、大きな分かれ道だったと思います。
【担当者からのコメント】
エレベーターにおける「部品供給停止」とは、メーカーでの製造が終了した部品について、一定期間の保有・供給期間を過ぎ、同じ部品を新たに手配することが難しくなる状態を指します。エレベーターは長く使われる設備ですが、制御盤やシーケンサ、基板、各種電気部品などは、機種の製造終了から年数が経つにつれて、同一部品の入手が難しくなることがあるのです。
ただし、部品供給停止になったからといって、全面リニューアルしか選択肢がないとは限りません。実際、押野様のケースでも、最初は「古くて部品がない。もう直せない」と説明されていましたが、i-tec24では原因を確認したうえで、制御の“頭脳”にあたるシーケンサの状態を見極め、使える可能性のある部品を探すところから対応しました。その結果、自社の部品倉庫で条件に合う部品が見つかり、修理で急場をしのぐことができた事例です。
エレベーターが止まり、「部品がない」「供給停止だから直せない」と言われた場合には、すぐに高額なリニューアルを決める前に、まず次の3点を確認してみてください。
1つ目は、止まった原因がどの部品・装置にあるのか。
2つ目は、その部品が本当に生産終了・供給停止になっているのか、それとも一時的に在庫がないだけなのか。
3つ目は、同等部品・代替部品・在庫部品での対応や、部分修理での復旧が検討されたのか。
この3つに具体的な答えが返ってくるかどうかで、判断の材料は大きく変わります。もちろん、どんな不具合でも必ず修理できるわけではありません。安全面から見て部分修理ではリスクが残る場合や、主要部品の入手が難しく今後の維持管理に支障が出る場合には、リニューアルを検討した方がよいケースもあります。
大切なのは、最初から「古いから全面入れ替え」と決めつけるのではなく、故障の原因、部品の状況、安全面、今後の維持管理まで確認したうえで、その物件にとって現実的な方法を選ぶことです。私たちは、故障の原因や部品の状況、建物の使われ方まで確認したうえで、ときには「それならメーカーさんにお任せした方がいいですよ」とお伝えすることも含め、その物件にとって無理のない方法をご提案するようにしています。
もし今の説明に少しでも引っかかりがあるなら、まずは「本当にほかの選択肢はないのか」を確認してみてください。
(i-tec24 専務取締役 吉村捷平)