年末年始があっという間に過ぎ、日常が戻ってきた来ましたね。
感染症も流行っていますので、体調管理に気を配って元気にお過ごしください。
さて今回は、エレベーターの体調管理とも言える保守管理についてのお話です。
① エレベーター設置費用について
建物が建設される際には、建築士が設計を行い、建築会社が建設を行います。その設計段階で、エレベーターは建物付帯設備としてエレベーター製造メーカーに設計が依頼され、製造コストギリギリもしくは赤字での納品が基本となり、グロスとネット、定価と卸価格のように、見積価格には本来の積算価格と実際の値引き後価格が記載されることになります。
というのも、昔はエレベーターを設置さえしてしまえば、ほぼ独占状況で30年以上の長期メンテナンス契約を取得することになり、維持管理費として建物所有者・利用者から十分な額のメンテナンス費用を得ることで収益化できたため、このようなビジネスモデルが確立したと言われています。
昨今では、メンテナンス専業の独立系エレベーター会社が台頭し、業界と顧客の情報格差が無くなってきたため、メンテナンス価格の「適正化」(現在は行き過ぎて低価格競争の激化)が進んでおり、製造メーカーは保守管理契約とセット売り(これは独占禁止法に触れそうですが)だったり、新築納品の長期化を背景に保守契約ありきで納品を約束するという営業がほとんどだと言われています。
② 建物の運用・維持管理~フルメンテナンス契約とPOG契約
建物が竣工し、所有者に引き渡されると、建物の運用・維持管理が始まります。
エレベーターの保守管理の実施、すなわち定期点検、法定検査(必要に応じて)を中心に、長期的には保全工事やリニューアル工事が発生します。
メンテナンス契約には、部品代も契約金額に含めた定額のフルメンテナンス契約と、部品の交換費用は別途都度見積のPOG契約の2種類がありますが、所有者は建設会社もしくは不動産管理会社の持ってくるたくさんの契約ごとの中で、高額なフルメンテナンス契約の契約書をそれが通常かつ適正な価格だと信じてサインをしてしまうケースがほとんどです。
③ 保守契約見直しのタイミング
エレベーターの保守管理では、故障が起きないのが当たり前で、すべてはエレベーター会社に任せておけば安心という考え方(間違いではありません)が日本では通常なので、信用・信頼性が高く、保守契約を見直すという選択肢は逆にリスク・不安を想起させやすいものでした。
これはひとえに日本のモノづくり技術、製造メーカーの製品信頼性によるものだと考えられます。海外では、1台のエレベーターが1年に故障する回数は平均10回という統計がありますが日本は1年で1回を下回ると言われています。
エレベーターとフロアに少しの段差が生じていれば不安になる日本とちがい、海外では段差は日常茶飯事、知人に聞くところでは東南アジアでエレベーターを降りたらかごが落ちていった体験もあったそうです。
それだけ信頼性が高い日本のエレベーターだからこそ、保守管理を見直すきっかけというのは数少ないものでした。保守見直しのタイミングというのは、管理会社主導での契約見直し(安い業者があるので、ということで管理会社のマージンも増額)や、管理会社の変更に伴う保守会社の変更、高い見積もりが来た時(POG契約の場合)、担当者への不信感・クレームあたりが主なものとなります。
昨今では半導体を利用した部品の供給停止が相次いでいることから、以前にもまして20~30年で訪れる部品供給停止に伴うエレベーターのリニューアルの件数が増加しています。そのため高額な見積が相当数発生しており、それも保守契約見直しのきっかけとなっている状況です。
④ やはり大切なことは
エレベーターに限らず、建物・設備の維持修繕にどれくらいの費用がかかるのか、所有者・管理会社は長期修繕計画を参考に検討されていることと思います。
しかし、その長期修繕計画は数年ごとに見直しが入るため、当初の数字が確約されるわけではなく、精度の高い計画を立てられるノウハウを持った建築関係者はごく一握りです。
特にエレベーターや立体駐車場などは専門業者に任せるしかないので、基本的に出てくる数字を信じるしかありませんが、数年後に取得をしたら数字が全然違うということはざらにある話です。
おそらくその時には管理会社の担当も専門業者の担当も変わっている可能性が高いです。
もちろん経済環境の変化、不動産を取り巻く環境の変化の方が目まぐるしい昨今ですので、それらの変化は大変重要ではありますが、大きな想いを持って建設された建物の行く末は極力良い方向に向かうことに越したことはありません。
建物を取り巻く会社・業者とは長い間の付き合いになるので、信頼できるつながりを持つことが大事だと言えるでしょう。
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